脱原発のための電気のはなし 第7回「系統連系」
MARCH 2022大阪全労協機関紙
太陽光などの再エネ発電所は送電網につなげることによって、その発電所で発電した再エネ電気を送電することができる。発電所を送電網につなげることを「系統連系」という。系統連系にあたって送電網や変電設備の増強工事が必要になる場合、発電所設置者がこの工事費用を負担する。
私の勤務先は太陽光発電所を新設するため電力会社に系統連系を申込んでいるが、系統連系を断られるか多額の工事費を請求され、発電所の新設を泣く泣く断念している。何故、こんなことが起こるのだろうか。
エネ庁のサイトには、日本の系統連系のルールは「送電線につなぐ電源(電気をつくる方法)は、電源の種類にかかわらず先着順です」とある。再エネ発電所を新設したくても、既設の発電所の電気によってその地域の送電網に空き容量が無い場合、新設の発電所は系統連系できない。または、送電網の空き容量を増やすため、大規模な増強工事が必要となり、多額の工事費を請求されることになる。
「先着順は仕方ない」と思われるかもしれないが、ここに大きな落とし穴がある。既設の発電所については、その発電所が休止していても、「送電網を使用している」とみなして空き容量を計算する。つまり、長期間休止している原発については、稼働して送電網を使用すると見なして、送電していなくてもこの原発のために空き容量を確保しているのである。そして、電力会社は、原発が実際に送電網を使用していなくても、使用していると見なして新設の発電所の系統連系を断るか、嫌がらせのように多額の工事費用を請求するのである。
政府が老朽原発の再稼働に固執する理由も、この「系統連系は先着順」にある。老朽原発は既設なので送電網の使用権があるが、原発であろうとも新設の発電所は先着順に阻まれて系統連系できない。だから政府は40年を超えた老朽原発であろうとも、既設原発を無理やり稼働させようとするのである。
「老朽原発を廃炉にせよ」という運動は、脱原発のためだけでなく、再エネの普及のためにも極めて重要である。皆で力を合わせて老朽原発を廃炉に追い込み、送電網を再エネのために解放させよう。