連載「脱原発のための電気のはなし」:託送料金

JANUARY 2022大阪全労協機関紙

1/29/2022

電力自由化後の電気料金に占める費用内訳

連載のこれまでの回で「送電網の連系を強化し、送電網を広域運用すべき」と書いてきた。送電網を広域運用し電気を長距離送電する場合、注目すべき費用がある。それは託送料金である。託送料金とは、電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の利用料金として送配電事業者が設定するものである。(資源エネルギー庁〈以下、「エネ庁」と略す。〉のサイトより)

なんか変なのが入ってる…

託送料金は送電網の利用料金なので、送電網の維持管理に必要な費用のみで構成されていると考えるが、実際はそれだけではない。エネ庁のサイトには「託送料金には送配電部門における人件費、設備修繕費、減価償却費、固定資産税のほか、電源開発促進税、賠償負担金、廃炉円滑化負担金等が含まれます。」とある。(傍点、筆者)人件費や設備修繕費などは送電網の維持管理に必要な費用だと、皆さんもすぐに理解できると思う。対して、私が傍点をつけた電源開発促進税など3種類の費用は、実は原発に関連する費用である。

電源開発促進税は発電施設等の設置の促進などに要する費用に充てるための税である。発電施設には原発も含まれており、この税収のかなりの部分は原発の建設などに支出されている。

エネ庁によると、賠償負担金とは、「福島第一原子力発電所の事故以前から原子力損害の賠償のために備えておくべきであった総額約2.4兆円を40年程度で回収するため、電気料金(託送料金)の一部として需要家から受け取ります。」とある。つまり、この賠償とは原発事故の賠償である。

廃炉円滑化負担金について、「原子力発電所の廃炉に伴って一括して生じる費用を分割計上する費用として、電気料金(託送料金)の一部として需要家から受け取ります。」と、エネ庁は説明する。要するに、「廃炉に金がかかるから、電気を使うやつらに負担させよう」という代物である。

私たちの電気代を原発に使うな!

託送料金は皆さんが毎月支払う電気料金に含まれている。託送料金には原発推進、原発事故の賠償、廃炉の費用が混ぜ込まれている。これは全くおかしな話である。私たちは「託送料金に原発の費用を混ぜるな」と、声を上げる必要があるのではないだろうか。

「脱原発のための電気のはなし」第5回は託送料金です。この託送料金、関電から自然エネルギー系の事業者に乗り換えても、もれなくついてくるんですよね…。おかしい!執筆者の励みになるので是非感想などお寄せください。

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