四天王寺大学:「労働局の見解を聞く必要はない」-裁判へ
NOVEMBER 2021大阪全労協機関紙ゼネラルユニオン
無期雇用と定年
だから、パートタイム労働者が無期雇用契約を獲得することは雇用の安定を図る上で重要なことだ。
また、政府はこの無期雇用と定年の設定について概略以下のような指針を示している。
無期雇用契約者に定年を設定することには問題はないが、その設定あたっては、無期雇用契約者が無期雇用制度の恩恵に浴することを保証しなければならない。
つまり、無期雇用となった労働者を短期間で定年退職させることは望ましくない、と述べている。
四天王寺大学で何が
この大学で非常勤講師をしていたA組合員は2019年3月27日、無期雇用契約書に署名した。同組合員はその3か月前に65歳になっており、同大学の就業規則では「定年は65歳」と定められていた。
しかし同組合員は2019年4月にも、次の2020年4月にも、それまでと変わりなくスケジュールを渡され勤務を続けた。
しかし2020年秋、勤務継続の意欲に満ちた同組会員は大学から突然「契約は今年度限り。理由は定年が65歳だから」という不可解な連絡を受けた。
団体交渉が開始されたが大学の姿勢は頑なななままだった。
当該組合員が報告を受けた大阪労働局の見解
この組合員は大阪労働局に解決の援助を申し出た。
大阪労働局は本人提出の資料の検討、本人からの事情聴取、大学への接触を経て、大学に対する助言内容を本人に報告した。
それは、「今回の大学の一方的な定年退職通告は『解雇』と見なされる可能性がある。本人とよく話し合って解決することを希望する」というものだった。
「労働局の助言を聞く必要はない」と大学
この大阪労働局の助言を受けて団体交渉が開催されたが、大学は「助言だから従う義務はない」と公然と述べ、助言無視の姿勢を鮮明にした。
従う義務がある裁判へ
当該組合員は裁判に訴える準備を始めている。組合は全面的に支援する。
「無期雇用と定年」という大事な問題についての裁判が始まる。大学は、今度は「従う義務がある」判決を聞くだろう。
注目と支援を!
日本全体と同様、ゼネラルユニオンも組合員の高齢化に直面しており定年退職の問題は重要課題の一つになっている。
我々は、死ぬまで働かなければならない社会を望んでいない。一方、組合員の多くが年金のないパートタイム労働者であり、簡単に退職できないことも現実だ。