労働者の権利と暮らしを守る

headlineFrom: 全労協新聞 第290号 2017年8月

専門職で年収の高い労働者を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」について、連合は修正を政府に申し入れ、受け入れられれば容認に転じることを明らかにしたが、「政労使合意」を見送ることになった。しかし、政府は今秋の臨時国会に労基法改正案を出す方針のようだ。

「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案は二〇一五年四月に国会に提出されたが、「定額働かせ放題法」、「残業代ゼロ法」、「過労死促進法」と厳しく批判され二年以上、一度も審議されていなかった。

昨年閣議決定された労働関連法の改正案「高度プロフェッショナル制度」は、年収一〇七五万円以上の特定の高度専門業務に従事する従業員を対象に、労働時間規制を外した働き方を認めるものであり、これまでのように労働時間で賃金が払われるのではなく、「成果で評価し賃金を決定する」ものである。

昨年塩崎厚労相は閣議のあとの記者会見で「ワークライフバランスの観点から、働き過ぎを是正するもの…多様なニーズに対応した働き方の選択肢を設けるもの…『裁量労働制』の適用範囲の見直しや、『高度プロフェッショナル制度』の創設は、経済のグローバル化の進展の中で、日本の労働生産性を向上させ、働く人の意欲や創造性を一層発揮させる。これらの施策は、日本の働き方改革の重要な柱であり」と述べた。

われわれはこの制度について、労働時間の制約がないため、働きすぎに陥る懸念があることと、対象の拡大で、働きすぎの労働者が増えるおそれがあると考え、「長時間労働を助長する、残業代ゼロ法案」と強く反対してきた。「裁量労働制」についても、厚生労働省の審議会で経営側が「柔軟で効率的な働き方ができる」とする一方、労働組合側は「残業代がなくなる上、長時間労働や過労死を招きかねない」と強く反対してきた。そして連合も強く反対してきた。

現在の法律では、一日八時間、一週間で四〇時間を超える労働は原則禁止されている。しかし、残業代ゼロ法案が通った場合には、この労働時間規制が撤廃され、究極的には二四時間連続勤務も可能になる。

「高度プロフェッショナル制度」受け入れるための、連合が求める修正案は、一〇四日の休日を義務づけた上で、労働時間の上限設定、勤務間インターバル制度、そして二週間連続の休暇と定期健康診断とは別、臨時の健康診断の四つのいずれかの措置を講じるというものだが、今の法案と大して変わらないのではないか。

連合がこの制度容認に転じて傘下の労働組合から異論が噴出しているとマスコミが伝えられ、制度容認を見送ることになった。臨時国会では同一労働同一賃金や残業時間の上限規制など「働き方改革」がテーマになる。働く人の権利と暮らしを守る労働基準法の原点に立ち返った検討を求めたい。

今年、広島・長崎に原爆が投下されてから七二周年になる。これまで核兵器は、開発、生産、貯蔵、使用についての限定的条約(核拡散防止条約や部分的核実験禁止条約・包括的核実験禁止条約など)はあったが、国際条約で禁止されてこなかった。

二〇一七年七月七日国連本部で開かれた条約交渉会議で、核兵器の生産や保有、使用などを幅広く禁じる「核兵器禁止条約」が、一二二カ国・地域の賛成多数によって採択された。しかし一方日本政府は、この、広島・長崎の願いが込められた条約会議に、「北朝鮮の脅威」を表明し、核保有五カ国とともに参加しなかった。

この条約を実効性ある物にするためには、核兵器保有国の参加が重要であることはいうまでもない。そのためにも、戦争で唯一、核攻撃とその惨禍を体験した核被爆国の日本が、核兵器の廃絶の先頭に立つ決意を世界に示すべきである。

(金澤壽議長)