労働者市民の怒りを憲法を守る闘いへ!

8月1日(290)号/1面七月二日投開票が行われた東京都議会選挙は、小池都知事が率いる都民ファーストの会は第一党となり、自民党と袂を分かって小池知事と手を組んだ公明党などと併せて議会の過半数を確保した。共産党も議席を増やしたが民進党は五議席に減少し、いわゆる立憲野党の勝利を実現することはできなかった。自民党は五七議席から半数にも満たない二三議席へと大惨敗となった。この惨敗は自民党にショックを与え、自民党内からも安倍一強体制に対する不満が漏れ始めている。森友学園問題では教育勅語を園児に斉唱させる教育を続けてきた森友学園に対して小学校を新設にあたって国有地を破格の低額で売り渡した疑惑、加計学園の獣医学部建設には国家戦略特区を使って便宜を図ってきたことなど、国政を私物化して側近の内閣と有識者によって審議会さえお手盛りで行い、誰はばかることなく友人や縁者を優遇して国費も投入してきた疑惑が噴出したのである。

安倍首相は政府への異議申し立てや反抗を事前に取り締まる新たな治安維持法として労働者市民、あるいは法学者の厳しい批判を無視して衆議院法務委員会採決の強行に続き、参議院では委員会採決さえ行わずに直接本会議で採決強行を行い共謀罪法を成立させるという暴挙を行った。共謀罪の強行成立と疑惑追求から逃れるために、国会を強引に閉会させて疑惑にふたをしようとしたのである。

安倍政権は成長戦略を通して経済の好循環と労働者・市民の生活向上実現を謳い文句に高い支持率を維持してきた。そしてこの高支持率を背景に、強引で独裁的な政治手法によって様々な悪法を成立させ、憲法改悪に向けて直進してきた。しかし現実は大企業と一部富裕層のための成長戦略であったことが明らかになり、労働者市民も貧困と格差社会の拡大であったことを知ることとなった。アベノミクスの破綻が明らかになったのである。いま、それを糊塗するため安倍政権は「働き方改革」と称する新たな幻想を使ってもう一度労働者市民を取り込もうとしている。そして中国や北朝鮮を敵国と人々を煽り、軍事大国化と軍事産業育成を政策の柱に置き、憲法を改正して国軍と戦争遂行を合憲化しようとしている。

五月三日、東京有明防災公園には五五、〇〇〇人の労働者市民が集まり、憲法施行七〇年を祝い「平和といのちと人権」を守る集いを開催した。全国各地で大規模な護憲集会が開催された。その一方、日本会議等を中心とした憲法改正を求める集会に安倍首相はメッセージを寄せ、「2020には新しい憲法が施行される年にしたい」と、年内には国会に改正案を提起する方向で検討することを表明した。次回総選挙には憲法改正のための国民投票を同時に実施することも検討されているという。安倍首相は憲法を改悪することが全てに優先する課題であると頑なに考えている。しかし、政権の私物化による腐敗はもはや覆い隠すこともできず、労働者市民の激しい怒りに直面している。新たな受け皿があれば安倍自民党は脆くも瓦解すると言うことである。都議会選挙の結果はそのことを明らかにしたのである。

私たちは労働者市民の安倍政権への怒りと憤りを政治腐敗批判に終わらせず、都議選で示された労働者市民の怒りが実は人権無視、民主主義の破壊と「格差と貧困」、福祉切り捨て政策政治的救済を求めているものであることをしっかり確認して闘いの中で方向付けをしなければならない。いま労働運動が求められているのは組合員のための利権擁護団体ではなく、人権の回復と公正・平等を実現するための組織として闘いの先頭につながることであろう。正規・非正規、性差別、民族差別を許さず、全ての労働者が八時間労働で生活できる社会を再構築する闘いがその出発点になる。
From: 全労協新聞 第290号 2017年8月