安倍政権『働き方改革』に対峙する


貧困・格差・差別と戦う




総がかり行動を!


[caption id="attachment_73" align="alignleft" width="266"]9a109-try 総がかり行動1月19日[/caption]

一月二十日、アメリカ大統領にトランプ氏が就任した。安倍首相とトランプ大統領という独りよがりで虚言癖があり、自家撞着を繰り返す二人によって世界と日本の民衆は振り回される日々が続くことになる。 

一月二十日から六月十八日までの会期を決めて通常国会が始まった。早速、安倍首相は共謀罪の上程を表明し、改憲への地ならしに向けて人びとの抵抗を縛る、治安維持のため法整備を強行する決意を示している。そして、戦争法を許さない総がかり行動やオール沖縄による辺野古新基地建設反対闘争の盛り上がりに対して労働者市民、民衆を分断して民主主義、立憲主義破壊に対する憤りを反らし、あわよくば自己の側に取り込もうとして耳障りのよい絵空事を並べるのである。

二〇一二年末総選挙に勝利して再び政権の座についた安倍首相は戦後レジームの脱却として「積極的平和主義」を掲げ、世界に向かって軍事的存在感を再び示し、国際貢献を軍事の面からも担うとし、憲法九条が邪魔なものとなり憲法改悪を直接政治課題として押し上げてきた。祖父である岸信介の悲願でもあった。一方、アベノミクス三本の矢を掲げてデフレからの脱却を旗印に日銀を使って異例の金融緩和を実行させ、成長戦略を描こうとしてきた。そして「世界で一番企業が活躍しやすい国」へと規制緩和を進め、自らがその岩盤に穴を開けるドリルになることを宣言してきたのである。

深刻化する貧困・格差

しかし、金融緩和による円安と株高による輸出大企業と一部富裕層に莫大な利益をもたらしたもののデフレ状態からは脱することができず、また大企業の利益はトリクルダウンしてすべての労働者に恩恵をもたらすとしたものの、大企業は内部留保を肥大化させるばかりとなり、かえって円安は輸入消費財の高騰をもたらした。日本社会は「貧困と格差」社会をますます深刻なものとしてきた。国内消費は一向に改善することはなく、デフレ脱却から経済成長という絵を描いたアベノミクスは完全に破綻した。

こうした状況の中で二〇一四年末、安倍首相は消費税一〇%への引き上げを延期することを理由にして国会を解散し総選挙に臨み、最大野党は民進党は民主党政権時代に失墜させた信頼を回復することができないまま、自民・公明党に衆議院の三分の二議席を与えることとなった。

二度の選挙に大勝した安倍政権は国会内絶対的多数派を背景とし、また高い支持率を武器にして忌み嫌ってきた「戦後レジーム=立憲主義による平和憲法」の破壊に着手、集団的自衛権行使容認を閣議決定するとともに憲法違反である戦争法を強行成立させてきたのだ。しかし、アベノミクスによる経済回復という目論見は一向に実を結ばず、そればかりか貧困・格差問題はいっそう深刻さを増して拡大した。実質賃金は上がらず、人手不足によって有効求人倍率は好転しても正規雇用は減少して低賃金不安定雇用の非正規雇用が拡大し、ブラック企業や過労死問題を多発させ、貧困問題は「子供の貧困」に直結してきた。当然、国内消費は回復をみせることもない。ネットで「保育園落ちた日本死ね」と発信されるとたちまち多くの共感を呼び起こす状況にまで社会の閉塞感は政府にとっても無視できないまでに蔓延し、少子高齢化による生産人口の減少は産めよ増やせよと首相自ら希望出生率一・八人を文字通りお願いしてみせるものの、女性の活躍を政策の柱に据えるとしながらも根本的な男女差別賃金やジェンダー差別の具体的解決についてはほおかむりするのである。

労働者対立煽る「働き方改革」

二〇一六年夏の参議院選挙にも勝利した安倍首相は憲法改悪へ更に前のめりとなっているものの、不安定な政権運営に直面してることも明らかである。世論調査では安倍内閣は六〇%近い高い支持率を維持しているが、個別政策についての支持は低く、厳しい批判に直面している。アベノミクスの失敗は覆い隠すことができないものとなっている。二〇一五年強行採決によって成立させた憲法違反の戦争法への批判をかわし、参議院選挙に向けて華々しく披露したアベノミクス第二ステージ「新三本の矢」とする戦略、即ち「強い経済成長、子育て支援、介護離職ゼロ」とのかけ声は安倍首相はもとより今は誰の口の端にも上らない。

いま、安倍首相は「一億総活躍」プランを焼き直して「働き方改革」と称して長時間労働の規制や同一労働同一賃金という労働者に耳障りのよい言辞を使い始めたのである。「働かせ方改革」への着手を始めている。アベノミクスの失敗を隠し、労働者の窮状に応えるかのように装いながら、政権批判から逃れながら、同時に正規労働者と非正規労働者の対立を煽り、労働者と市民が団結して政権批判が拡大することを阻止しようというのである。

政府は経団連会長に榊原定征氏が就任して蜜月関係を強めて政治献金の再開を取り付け、一方、法人税の引き下げや武器や原発輸出など企業活動に関わる規制緩和を進めてきた。そして安倍首相自から音頭をとって労使関係にも直接指示を行って政策変更を進めようとしている。

総がかりで戦争法廃止へ

安倍首相によって日本は大きな時代的転換を迎えてきた。民主主義を破壊し立憲主義を破壊する政治運営に激しい批判が巻き起こった。15年安保ともいわれた戦争法反対闘争には多くの市民が国会を取り囲み抗議の声を上げてきた。総がかり行動である。総がかり行動は野党共闘を促し、市民連合などを結成して参議院選挙では野党統一候補を擁立して成果を上げることができた。しかし、参議院でも与党は三分の二議席を占め、政府は再びTPPや年金改悪法、カジノ法など強行採決を繰り返している。

民主主義・立憲主義とは個人の権利を認め尊重することを基礎にされなければならない。安倍政権はこれを否定するのである。個人より家族が優先され、国家の利益が優先される。一切の個人的営みはこれに従うことが要求されようとしている。「人らしく生きる」と「人らしく働く」こともまた国家の利益に従うことが要求されようとしている。

私たちはいま戦争法や労働法の改悪、生活再建に向けて闘うことはこの個人の権利を蹂躙しようとする施策との闘いでなければならない。私たちは基本的人権の再確立を闘い、改めて民主主義・立憲主義を確立することが求められている。安倍首相の向かう方向とは真逆な方向である。

ところが、一日一日を生活することに追われる多くの労働者・市民がいる。そして解決を必要とする課題は様々である。低賃金故にダブル・トリプルワークに追われる労働者、パワハラ・セクハラ、長時間過密労働からの解放、そしてシングルマザーとして二重三重に困難を抱える労働者、介護に追われる労働者、年金では生活できない高齢者など多様である。そして労働者が直面している要求も多様なものとなっている。人びとはその要求について関心と運動を持っている。賃金引き上げや最低賃金の保障、保育園や教育の均等、子育てのための施設、あるいは奨学金返済に苦しむ労働者の闘いがある。

いま、これらの闘いが大きく合流し、安倍政権が向かおうとする社会、個人より家族・国家の利益が優先され、従うことが強制される社会、即ち国益のためには戦争もする国を拒否することが求められている。そのためには幾多の闘いの合流が不可欠である。労働者・労働組合・市民運動の大きな共同した闘いが求められている。戦争法を許さない!総がかり行動の闘いと市民連合・野党共闘の闘いは大きな財産である。日本社会が大きく転換しようとする時代に労働組合・労働運動の責務は明確である。労働組合は労働を通じて一人一人が団結し、要求実現のために闘う組織である。一つ一つの闘いを繋ぎ、強固な団結と連帯の蝶番となることが求められている。安倍政権の暴走を止めなければならない。17春闘は安倍政権打倒の先陣を「非正規労働者の均等待遇実現、大幅賃上げ実現」をかかげて闘いの先陣を切り開いていこう。

【全労協新聞2017年2月第284号】